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2011.12.30冬コミ発売
Double Choice
(通販でのお買い求めはこちらから!)
叶 逢樹 個人誌
A5 118p 1000円

♪表紙 染 ゆかい
♪小説 叶
♪二者択一 イラスト ゆかい


あらすじ

Beauty and the Beast-La Rosa de la Luz-

魔物が棲むと言われていた城へ出向いたエドワードは、そこに拘束さ
れていた父親の自由と引き換えに、自らの一生を城主アルフォンスに
捧げることを約束する。
厳しい鎧に身を包んだアルフォンスは、呪いの力によって生身の身体
を奪われ、死ぬことのない魂として長過ぎる日々を見送り続けてきた。
だが突如現れ、無垢な心で接してくる青年エドワードとの交流の中で、
かつてない気持ちを自覚するようになる。
そんなある日、エドワードの友人が城を訪問し、王宮からエドワード
に再三呼び出しがあることを伝えたのだが……。

*美女と野獣パロ・ハッピーエンド。書きおろし番外編は二人の結婚
式の話です* 

二者択一

 江戸の町で偶然出会った青年エドワードのことが忘れられず、
一時も頭から離れなくなったアルフォンスは義父から、彼が自分の兄
であり、幼い頃の大火で生き別れになっていたことを聞かされる。
幼少時の大火傷が災いし、聴力を失っていたエドワードは、不自由に
なった我が身を考えると、とてもアルフォンスの兄であると公に名乗
り上げる気持ちになれなかった。
 ある日町で偶然再会したふたりだが、思わず逃げ出すエドワードを
アルフォンスは追い詰めた。

「僕と出会わなかったら良かった?」
「そんなこと……!」

 否定しかけたエドワードの抵抗を封じたアルフォンスは、無理矢理
兄の身体を手に入れるのだが……。

*ゆかいさんとのコラボ小説・時代劇です。実在の人物、国、歴史
とは無関係。こんな冒頭ですが最後はとってもハッピーエンド。
書きおろし番外編は幸せに暮らすその後の二人、特にエドワードに
焦点を当てています*
ゆかいさんの『色気ある乳首兄さん』が詰まった挿絵7枚と漫画一枚は必見!!


*この本の中身は全てR18です*


Beauty and the Beast 書きおろし……「いとしさに花は謳う」

「さて、手続きは踏んだ。僕らは紛う方なく婚姻を結んだことだし、まずは伴侶のきみから祝福の口付けをもらおうかな」
 ぎょっとした青年は目を見開き、喚きながら胸板を押し返して抵抗した。
「おまえ……っ、や、約束しただろ、人前でキスはしないんだよ、俺は!」
「婚約中は節度あるお付き合いを、ってことだったからね、僕もちゃんと我慢した。……でももう僕らは正式に婚姻したんだから、僕がいつどこでキスを求めても、僕が不誠実でない限り、そしてきみが本当に僕を嫌っていない限り、きみはそれに応じる義務がある」
 もっともらしいその口上に、うううとエドワードは唇を歪めた。しかしこれまでの人生で家族以外と、しかも特別な種類のキスをした経験が殆どなかった自分にとって、更に人前でとなると、これは苦行に近い命令だった。
「あ、明日から、がんばるから!」
 咄嗟に両手で口元をガードされ、往生際の悪さにアルフォンスは憮然とした。
「……そう、じゃあ」



二者択一  書きおろし……「月光」

 ただ見合っているはずが、態勢が徐々に水平になり、気づくと畳の上に転がされていた。アルフォンスの意図がわかり、エドワードは少しだけ眉を寄せた。
「……こんなところで」
「だって兄さんが震えるから、暖めてあげようと思って」
「……お、俺は震えてなんかいない!」
 背後に回った手で髪を解かれ、ぱらりと肌に金糸が散った。エドワードはむきになって抵抗した。
「晩飯はどうするんだよ! 腹減ってるだろう!」
「僕が後で支度するから心配無用」
 見下ろすアルフォンスの体がやや影になり、ほぼ真上からじっと見下ろされるのが嫌で四肢を滅茶苦茶に動かした。ところがあっという間に両手を掴まれ、自分の頭上へと引き上げられる。緩くたわんだ袖口から白い肘と腕が見えたことに気づくとアルフォンスはそこに唇を寄せた。
「ん、ん……っ、い、やぁ……っ」
 柔らかな唇で吸いついては離し、繰り返すその音で、皮膚を微かに揺らしながら舌でなぞっていく様子を間近に見せられ、エドワードは思わず赤面して息を堪えた。