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2010/10/07 
Comic City Spark  
新刊 「Kiss of life」


叶 逢樹個人誌
表紙イラスト 染

A5 66ページ  600円 

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幼い頃、病弱だったアルフォンスに兄だと名乗った青年は
ある日を境に姿を消した。
成長したアルフォンスが探し求め、ついに再会した兄、エドワード。
だが彼には弟に言えない、不可思議な秘密があった……。
そしてそれはアルフォンス本人にも深く関わりのあるもので……?

人々が消え寂れた村。深い森。
時間をとめてしまった兄、エドワード。
驚愕の真実を知った今、アルフォンスがとった行動は……?



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「キスしてもいい?」
「なっ、なんだとっ」
「さっきみたいに、乱暴になんてしないから、いい?」
「何いってんだ!」
 白桃のような頬がぱっと薄赤く染まる。彼は無理やり僕の手を離そうとした。
「だってたったひとりの家族なんだよ。ずっと会いたかった。こんなに近くにいて、とうとう会えて、僕は今感動で胸がどうにかなりそうなんだ」
「それのどこがどうしたらキスにつながるんだよっ、離せっ」
 無理やり体をくねらせ背中を見せた兄を、僕は諦めずそのままぎゅっと抱きしめた。彼は首筋までみるみる赤く染め、体中をこわばらせた。それでも僕はやめられなかった。
「抱きしめて、キスしたい。いつまでもこうして離したくない」
「何考えてるんだよ! そりゃ女にやることだ、俺じゃねぇ!」
「女の子なんて!」
 大声で抗議しかけ、僕ははっと気づかされた。僕の手が緩んだ途端、兄は必死に逆らって僕から離れ、少し距離を置いたところでこちらを睨みつけてきた。まるで毛を逆立てた猫のように。
「その顔じゃあさぞかしもてたんだろうなぁ、アルフォンスくん?」