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「Twilight」(ス/テ/フ/ァ/ニー・メ/イ/ヤー作、同タイトルのダブルパロ)
叶 逢樹個人誌
2013/08/10夏コミ新刊
A5 94p 900円  フルカラー表紙 R18   通販ページはこちらから
表紙絵 染

引っ越し先の高校で転校初日、予期せぬ事故からエドワードの命を救ってくれたのは
ブラッドレイ家の養子、アルフォンスだった。
だが、掴みどころのない男アルフォンスは、翌日からエドワードに冷たい態度をとってくる。
かと思えば唐突に優しく話しかけられ、エドワードは彼の態度に翻弄させられてしまう。
どうしてもアルフォンスへの興味が募っていくエドワードに、しかしある日、彼は
忠告してきた。




「もしかしたら、僕らは親しくしないほうがいいのかもしれない」
 突然の提案に、俺は眉をひそめた。
「意味がわからない」
「言葉通りだ。……僕はきみを脅かす存在だから」





*吸血鬼アルフォンス×高校生エドワード*

原作や映画を全く知らないひとにこそ、読んでほしい内容になっています。
原作を知らなくても充分理解できます。
最後は必ずハッピーエンド!





以下、サンプル

sample-1-


「……良かった……?」
 アルフォンスはいきなり車を止めた。そして、その動きに俺が思いきりシートでがくんと揺れたことなどどうでもいいように、車をUターンさせた。
「乱暴だな!」
 思わず文句を言うと、ちらりとこちらを見て、またアルフォンスは前を見た。
「きみほど命知らずじゃないけどね」
「なんだって?」
「僕は正直に言った。きみの身体の中にあるものに、僕がどうしようもなく惹かれてしまうってことを。それを欲しくて欲しくて仕方ないんだ。時折辛くて自暴自棄になりそうなくらい、きみが僕を誘惑しているんだ」
 どきりとするような言葉に俺は一瞬意味を取り違えそうになった。
 ……誘惑って、ようするに、俺の見た目とかのことじゃなく、血液について話してるんだよな……。
「なのに当のきみときたら。僕に襲われて命を失う心配じゃなく、僕らが授業中にうまくやれるかどうかのほうが心配なのか!」
 行きのスピードとは比べ物にならない程、メーターがぐんぐん上がっていく。俺は全身がぞわぞわしはじめた。……これで交通事故で死んだらシャレにならない。
「じゃあ俺は、どうしたらいいんだよ!」
 思わず喚いた。
「とにかくおまえの側に行かなきゃいいのか? それとも、全身をビニールで包んで、血液でも何でも一切の匂いを、かけらでも振りまかないようにしたらいいのか? そんなことをしたって、どうせおまえは俺を見てるくせに!」


sample-2-


「俺の家に、何回入った?」
「ほとんど毎晩」
 俺はそれを聞き、手に持っていたトマトを落としそうになった。
「毎晩!? なんで!?」
「眠ってるきみを眺めに」
「……っ!」


sample-3-


「本当に諦めてはもらえないの? ……もしもきみが僕らの仲間になれば、叔父さんにも、お母さんにも、二度と会うことはできなくなる。……多分、見た目が全く変わってしまうし、きっと変化したばかりのきみは、吸血行為の思念で暫く頭がいっぱいになってしまうから」
「他には、どんなことが起こる?」
「とても力が強くなる。傷つくことも滅多にないし、体のどこかが欠けたとしても、時間が経てば再生する。頭と体をばらばらにして燃やす以外、僕らを消滅させる手段はない。きみが生まれてからずっと感じてきた味覚、嗅覚、視覚、その全てが劇的に変化する。……そして体の中から、リズミカルな心臓の響きが消え、血液の流れる温かさもなくなってしまう。……僕がとても気に入っていた、きみの美しい頬の赤みも、もう、見られなくなってしまうんだ」
 アルフォンスはとても寂しそうに呟いた。以前にもそれが好きだと言われたことがあったのを俺は思い出した。俺があたりまえに感じていたことを、アルフォンスは全て惜しいと思ってくれている。


sample-4-


「……どうかな、良かったら……海で泳いでみない?」
 アルフォンスがゆっくり提案した。
「ここの海はすごく温かいんだ。きっとエドも気に入る」
「……あ、ああ、そ、そうだな」
 ぎくしゃくと頷くと、アルフォンスは俺の頬に唇をさっと押し付けた。
「先に行ってる」
 震える俺に気づいたのか、くすりと笑いながら彼は部屋を出ていった。